1. 毎晩の「習慣」という名の儀式との決別
誤解しないでほしいが、俺はもともと、浴びるほどお酒を飲むタイプではない。 だが、かつての俺にとって、一日の終わりは小さなアルコールの喉越しとともにあった。 仕事の疲れ、将来への漠然とした不安、そして自分への苛立ち。それらすべてを一時的にぼかしてくれるお酒は、俺にとってなくてはならない「麻酔」のようなものだった。
特別強くもないのに、なんとなく飲む。その「なんとなく」が、どれほど俺の輪郭を曖昧にしていたか、当時の俺は気づいていなかった。
2. 1年間の禁酒がもたらした、残酷なまでの「クリア」
「再起動」を誓い、俺はその麻酔をすべて捨てた。 理由は一つ。今の自分には、現実を直視し、正気で未来を予約するための「時間」と「意識」が、何よりも必要だったからだ。
お酒をやめて1年。最初の数ヶ月は、夜の時間の長さに戸惑った。 だが、次第に気づいた。お酒を飲まない夜は、驚くほど静かで、驚くほど「自分」と向き合える。 この1年間の静寂こそが、俺を今の資産112万円へと押し上げた原動力になったのは間違いない。 朝起きた時の不快な重みもなく、夜中に無駄な思考がループすることもない。
3. 「付き合いが悪い」という勲章
「一杯くらい、いいじゃないか」という誘いを断り続けるのは、40代の社会人にとって、時に自らバリカンで髪を刈るよりも勇気がいることだった。 「もともとそんなに飲まないだろ?」という声に流されるのは簡単だったが、俺は「付き合いが悪い奴」と思われることを選んだ。
他人の顔色を伺って消費する数時間よりも、自分の部屋で一人、自分の未来を組み上げる数分の方が、今の俺には圧倒的に価値がある。 お酒を捨てたことで手に入れたのは、単なる健康や貯金ではない。 「自分の意志で、自分の夜を完全に支配している」という、確かな自負だった。
「自分を疑う勇気を持てた時、信じたい未来がクリアに見えてくる。」
第2章、透明な夜が、俺の思考を研ぎ澄ませていく。
次話、saikidou 13 ―― 重力との対話。40代、筋トレという「裏切らない投資」に救われる。
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